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最高裁判所第一小法廷 昭和33年(オ)638号 判決 1960年2月11日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人代表者赤井力也の上告理由第一点、第二点について。

しかし、原判決は、上告人(控訴人、原告)の原審における特約並びに被控訴人(被上告人、被告)の控訴人を害することを知りながら本件手形を取得した旨の主張事実については、所論阿部正章の供述ではこれを認めるに足る的確な証拠とすることができない旨判示しており、その判示はこれを首肯することができるから、原判決には所論第一点前段の証拠判断を遺脱した違法はない。また、原判決並びに原判決の引用した第一審判決理由によれば、手形の書替は通常旧手形の債務の支払を延長するためになされたものと解すべきであるところ、本件のように旧手形取得の際被上告人が上告人の訴外会社に対する人的抗弁事由の存在を知つていたことが認められないから被上告人は書替後の新手形について悪意の取得者であるということはできないと判示しており、その判示は是認できるから、原判決には論旨第一点後段、同第二点の違法は認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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